Blog on Duty of Care 海外における企業の安全配慮義務

企業が実施可能な健康に関する重要事項トップ8(2018年版)

topeight.jpg

インターナショナルSOS非伝染性疾病メディカルダイレクター、Rodrigo Roadriguex-Fernandez医師による、「企業が実施可能な健康に関する重要事項トップ8(2018年版)」が発表されました。

企業が実施可能な健康に関する重要事項トップ8(2018年版)

1. 健康はビジネスの基礎であると認識する
従業員の健康と幸せは今やただの福利厚生や「あったら良い」ものではなく、事業の継続性や業界のサステナビリティ(持続可能性)を推進するための必須事項と考えられています。世界経済フォーラムは世界経済において健康の重要性が高まっていることを突き止め、2015年のグローバルトレンドのトップ10にランキングしました。同様にニューヨークの国連本部で「持続可能な開発目標(SDG)」として17項目が新たに採択されました。その3つ目の項目が「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」です。

2. 健康に関するデータを年次報告書に盛り込む
2年以内に幅広い業種で、従業員の健康データが企業の全体的な成績の重要な指標になるでしょう。従業員の健康指標は既存のCSR(企業の社会的責任)、サステナビリティ(持続可能性)、そして総合的な報告書の中心的な存在になりつつあり、株主や潜在的な投資家達が注目するデューデリジェンスチェックリストの必須項目になりました。年次会計報告書やCSR/サステナビリティ報告書に従業員の健康について記載していない企業は、ベストプラクティスとして記載すべきです。

3. 職場におけるメンタルヘルスへの偏見を払拭する
EU内で燃え尽き症候群を職業病と考える研究が行われている中、従業員5人の内3人がメンタルヘルス問題を抱える時代になりました。しかし職場でのメンタルヘルス問題に対処するプログラムや企業風土を持つ会社は少ないです。メンタルヘルス問題は恥ずべきものではなく、心疾患や肺の病気と同様に深刻な病状になりうるという企業風土を企業は積極的に作るべきです。中間管理職をメンタルヘルスのエキスパートに仕立て、社内でサポート役にさせるのが急速に職場のトレンドになりつつあります。

4. ROIの先を見る
職場の健康増進プログラムは採算が取れる従業員福利であるという根拠は多くあります。職場の健康増進プログラムの投資利益率(ROI)に注目した最近の研究によると、47件中41件がプログラムを実施する費用よりも節約のほうが大きく、平均して1ドルの費用に対して3.74のROIがあったそうです。さらに、最近のプログラムは投資価値(VOI)を使い始めており、医療費の節約効果だけでなく従業員の士気や企業の雇用能力、生産性、その他目に見えにくい形の利益を計測しています。ROIが1: 1のプログラム、つまり採算が取れつつ社員の幸福、健康、そして生産性が得られるプログラムは企業にとって考えるまでもなく実施すべきです。

5. 自社の健康増進プログラムが機能しているか確認する
プログラムの実際の効果を確かめることなく財源だけつぎ込んでいる企業はたくさんあります。プログラムやアクティビティは進捗や成果を測るために様々な指標で管理すべきです。この指標の一覧は職場の健康増進プログラムの開発初期に設計するものです。例えば社内外の会議でとる食事をより健康な選択肢に変更するという規定を作ったとします。この場合、この新しいルールに対する社員の評価を出口調査で調べる短期指標や、社員の体重の変化やその他の健康面での変化を測る長期指標を紐付ける必要があります。

6. フルーツやヨガと科学的根拠のバランスを取る
我々は世界中の職場の健康増進プログラムを監査してきましたが、そのうちうまく設計されていたのは約1割ほどでした。残りのほとんどのプログラムは我々が「フルーツとヨガ」と呼んでいる、職場にバナナを置いて月に1回ヨガインストラクターが来社するだけのものでした。重要なのは科学的根拠に基づき効果が実証されているプログラムと、いかにも健康そうな印象があるもの(従業員の士気や離職防止に貢献する可能性がある)を組み合わせることです。時折自転車のレースを実施したり、月に1度だけ単発的なものではなく、キャリア、感情、経済、身体、そして社会的健康を支援する職場環境が重要です。

7. 賢くインセンティブを与える
インセンティブは社員がより健康的な行動をとろうとするモチベーションを生み出します。次に社員はこれらの行動を実践するためのスキルを身につける必要があります。そしてこうした行動を職場で実践する機会が必要です。しかしインセンティブは一般的に従業員にちょっとしたことを短期的に行わせる傾向にあります。従って実績に基づいた広範なプログラムに上手く組み込まれたインセンティブのほうが長期的な効果の発揮を期待できます。

8. 専門家とパートナーシップを組む 
職場の健康増進プログラムの多くは人事課や給与・福利厚生課と、何名かの健康および安全に関わるリーダー達によって実施されています。しかし彼らは人事のプロとして行動科学や公衆衛生に基づいた、疾病予防を中心としたプログラムを組むための研修を受けておらず、受ける必要もありません。幸いなことに学術機関や専門家は多数存在しますので、パートナーシップを組むことで、自社の不得意とする分野をカバーしながら、得意分野を活用することが可能です。社外に助けを求めることをためらってはいけません。 

インターナショナルSOSは、海外で活躍される企業や
その社員の方々に医療とセキュリティのアシスタンスサービスを
提供しています。詳細は下記webサイトをご覧ください。
http://www.internationalsos.co.jp/

Blog on Duty of Care ~ 海外における企業の安全配慮義務ブログ ~ Duty of Careとは? Blog on Duty of Care