Blog on Duty of Care 海外における企業の安全配慮義務

実際に発生するケースと高リスクと捉えられている事象との相違点が明らかに

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インターナショナルSOSは過去3年間のオーストラレーシア地域の出張に伴う医療、安全に関する事例データと専門家の分析をまとめて発表しました。このインサイトで示された、出張に伴うリスクへの新たな視点を見ていきましょう。

安全面でのリスク

出張に伴うリスクが増加したと答えた企業担当者は72%、テロが増加したと答えた回答者は64%。しかし実際は...

オーストラレーシア地域の出張の健康・安全に関する担当者の10人に7人(72%)が過去1年間で、出張に伴うリスクが増加したと回答しています(*1 )。この内、オーストラリア及びニュージーランドの回答者の64%は、2016年にテロが増加したと考えています( *2)。しかし、こうした感覚とは異なり、経済平和研究所の年次グローバルテロリズム指標によれば、世界におけるテロ関連の死亡事故は、2016年及び2017年の両年とも減少しています(*3 )。


テロに関するセキュリティアラートは1%未満

2016年から2017年の事業年度中にインターナショナルSOSが発信したセキュリティアラートのうち、テロリストの警告及び事案に関連するものは1%未満でした。インターナショナルSOSオーストラレーシアのセキュリティ・ディレクターSally Napperはこの点について、「ニュース等ではテロに関する報道が増えていますが、出張者は交通事故や軽犯罪、病気、又はパスポートの紛失、飛行機の遅延等、出張計画や業務の継続に影響を与える問題に遭遇する可能性の方がよほど高いといえます。」と述べ、さらに「アシスタンスセンターで受ける旅の安全面に関するお問い合わせの多くは、海外で遭遇する可能性のある脅威の軽減を目的としたアドバイスに重点を置いた相談です。」と指摘しています。他に安全面で懸念される事項として、「個々の旅行者のリスクの全体像を理解すること」「会社のデータの保護」「国ごとのリスク状況の変化への対応」などがあげられています。こうしたデータから、安全面に対する脅威と捉えられている事象と、渡航先での実際のリスクの間には違いがあると見ることができます。 

医療面でのリスク

次に、医療面でのリスクも見ていきましょう。オーストラレーシア地域の企業に影響を及ぼす新たな健康関連事項には、「ストレス及びメンタルヘルス上の問題」「非感染性疾患」「医療訴訟の変化」「旅行中に専門家による治療を最適化するための遠隔医療の使用」があげられます。

医療事案が発生する確率が高いのは高リスク国よりも低・中リスク国

医療事案のほとんどは高リスク国で発生するものであると考えられがちですが、シドニーアシスタンスセンターが2016年と2017年に取り扱った医療事案の約半数(43%)は、低・中リスク国で発生したものでした。高額かつ難しい搬送が必要だったケースは全体の1%未満にとどまっています。

業界によって発生する事案に異なる傾向

企業セクターにおける医療搬送(38%)の多くの事例に共通する原因は心血管疾患によるものです。教育セクターにおける顧客の入院事例のほぼ半数(44%)は怪我に関連するものでした。この新たなデータをみると、業界によって発生しやすい事案には特徴があり、傾向を理解すれば、リスクは実は思うほど予測不可能ではないことを示しています。


ファクト・シート

アシスタンスセンターの問い合わせの80%は、旅行前のアドバイス及び事前教育に関するものです。そのうち15%が通院診療、4%が入院診療、1%未満が搬送及び帰国移送が必要でした。
出張中の従業員が直面する、主な医療上の問題点は下記の通り、業界によって異なります。

1. 企業セクター 
 • 全搬送事例の38%は心血管疾患を原因としています。 
 •入院患者の20%が消化器系の問題を原因としています。 
 • 外来患者の13%が消化器系の問題を原因としています。
2. 教育セクター 
 • 全搬送事例の65%は怪我を原因としています。 
 •入院患者の44%は怪我を原因としています。 
 • 外来患者の17%は消化器系の問題を原因としています。
3. 石油・ガス・鉱業などの採取セクター 
 • 全搬送事例の44%は怪我を原因としています。 
 •入院患者の19%は筋肉、骨及び関節系の疾病を原因としています。 
 • 外来患者の17%は胃腸の問題を原因としています。

農業関連産業、非営利団体、金融サービスセクターなど、その他のセクターの結果については、https://www.rethinkunpredictable.com.au/ をご参照ください。 同サイトでは、オーストラレーシア地域の出張に伴う医療、安全及び支援に関するデータをもとにした、グローバルに展開する企業やその社員が直面する課題など、さらに詳細な情報が提供されています。(英語サイト)


渡航者が直面する健康リスクーその共通点を知ることで、包括的な対策が可能に

インターナショナルSOS労働衛生担当のメディカル・ディレクターNhlanhla Mpofu医師は、次のように述べています。「医療事案はそれぞれ固有のものですが、長期的な視点で見ると渡航者が直面する健康リスクには共通点があることが分かっています。リスクの多くは系統的かつ包括的に計画を立て、対策を講じることによって軽減することができます。」
軽度の症状への対応から社会的混乱時の支援まで、医療へのサポートは様々な場面が想定されます。いずれにおいても、適切な場所で必要なサポートが行なわれれば、人への影響、時間的な効率性、費用面など、リスクや負担を大幅に軽減することができます。


予測可能なリスクには渡航リスク軽減プログラムを活用し、積極的に予防・軽減を

オーストラレーシア地域で得られたデータは、医療面、安全面ともにリスクのすべてが予測不能ではなく、場面を想定して、適切な事前対策を講じることが可能であることを示したものといえます。
インターナショナルSOSの渡航リスク軽減プログラムはリスクの予防、軽減、回避を重視しています。渡航者の出発前の準備をサポートすること、管理者が何らかの事案が発生する前にリスクを適正に管理し、意思決定を行うことなど、渡航者の健康・安全管理の様々な側面で、プログラムは活用されています。 

 

*1 Ipsos MORI study commissioned by International SOS. (2017). Business resilience trends watch 2018
*2 Ipsos MORI study comm. by Intl.SOS. (2016). Travel Risks & Reality: The new normal for business.
*3 Institute for Economics & Peace. (2017). Global Terrorism Index. 

インターナショナルSOSは、海外で活躍される企業や
その社員の方々に医療とセキュリティのアシスタンスサービスを
提供しています。詳細は下記webサイトをご覧ください。
http://www.internationalsos.co.jp/

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