Blog on Duty of Care 海外における企業の安全配慮義務

発生対応では遅い! ~リスク認識・準備することから始まる出張者のリスク対策と企業の安全配慮義務~【2】海外出張に伴うリスク

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感染症、病気、怪我、犯罪、暴動、テロ、紛争、自然災害、交通事故、大規模インフラ事故等、
海外出張には様々なリスクが潜んでおり、定期的に日本人が巻き込まれる事例が発生している。

海外出張に伴うリスクにはどのようなものがあるだろうか?
感染症、病気、怪我、不十分な医療インフラといった健康面以外にも、犯罪、暴動、テロ、紛争、自然災害、交通事故、大規模インフラ事故などがあげられる。

本稿執筆時点の2015年8月だけでも、中国・天津における爆発事故、タイ・バンコク中心部における爆破テロ、朝鮮半島における緊張の高まり、と一連の事件・事故が続いている。

バンコクにおけるクーデターやテロ事件のように、メディアの注目を浴びるような事案が発生すると、テロ対策、誘拐対策といった「インパクトの大きそうな」事案への対応を見直す企業が一時的に増える傾向にあるが、軽犯罪や交通事故といった「発生頻度の大きい」日ごろから発生しがちな事案への恒常的な対策も極めて重要である。また、軽犯罪や交通事故といっても、死亡事案となるケースもあり、事件事故対応そのものの負担はもとより、交代要員の調整や同僚・組織への心理的インパクトも加味すると、優れたノウハウを持った人材の逸失は想像以上に大きな影響を及ぼす。

実際、ここ1年の間でも、東南アジアに赴任していた日本人が、数年の赴任期間の後半に交通事故に巻き込まれて亡くなった事例や、シンガポールからインドに出張中、運転手のスピード出しすぎによるハンドル操作の誤りで路肩に落ち、シンガポール人の出張同行者と共に大怪我を追った事例など、複数の日本人・日本企業関係者が巻き込まれた事例がある。いずれも、当人の渡航先での業務への影響に加え、帰国した後に携わる予定だった業務にも大きな影響が発生しており、ビジネスへの影響は大きなものがある。

軽犯罪や小さな事故が大きな危機に発展する恐れも。

軽犯罪と言ってもインドで財布をすられてしまい、すぐに気づいてあわてて追いかけたところ、ナイフで切りつけられ大怪我をし入院してしまうという被害事例もある。軽犯罪の被害であっても対応次第では命にかかわることもあり、「ひやり」とする事件も多数発生している。また、出張経験豊富な人でも犯罪被害に遭っており、更に、数名のグループで出張する際にも被害は発生しており、特にグループ内で最も非力に見える女性が狙われたりと、グループだから一人での出張よりも安全とは限らない。

ベトナムやマレーシアといった、一見「おおむね安全」そうに見える国でも発生している。変化の激しい新興国では都市部の近代化は目を見張るものがあるが、一方で、同じ都市内でも貧富の差は大きく、また、都市部と地方部で大きな格差が残る国も多く、「XXX国は安全になった」とひとくくりでは言い表せられない状況にある。そしてどんなに安全になったと言っても、日本で暮らす日本人と同水準で安全が確保できる、といえる国はアジアではまだまだ少ない。「ローリスク」は「ノーリスク」ではないのだ。

そこに加えて「出張」という業務環境下での渡航となるため、不慣れな環境、外国語、時差、疲労・睡眠不足、異文化・宗教、異なる法体系、異なる交通法規、運転環境・習慣、そしてプレッシャーというようにリスク感度を引き下げるような要因が多数あることから、逆にリスク感度を高く保つ努力が必要となる。

(シンガポール日本商工会議所10月号に寄稿した文章より)

【3】出張者の安全対策

Written by 福間 芳朗

インターナショナルSOS/コントロール・リスクス セキュリティディレクター
日本・韓国地域責任者。渡航先である特定国・都市・地域のリスクに関するアドバイスから、緊急時には現地での国外退避オペレーションを担当。駐在・出張者を対象としたリスク回避に関する研修の講師や、緊急避難計画コンサルティングも行う。トラベルセキュリティーサービス担当以前は、日本企業の欧州・アフリカ進出コンサルティングや、外資系企業にて人材サービスや日本進出コンサルティングに携わる。また、フランス軍に5年間所属し旧ユーゴスラビアや中央アフリカでのオペレーションに参加した経験あり。

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