Blog on Duty of Care 海外における企業の安全配慮義務

【第3回勉強会】安全配慮義務(Duty of Care)を果たすためのインターナショナルSOSサービスの周知方法

 COVID-19の感染拡大をきっかけに、2020年11月よりスタートした会員企業様同士のコミュニケーションの場である「勉強会」の第3回目が2021年1月25日に開催されました。

 今回は、安全配慮義務を果たすために必要と思われるアシスタンスサービスの周知方法について、各社の事例をベースに議論が行われましたので、その内容をレポートさせていただきます。

 企業は従業員に対して何を行えば「安全配慮義務を果した」と言えるのでしょうか?
 病気になったら対応してもらえればそれで良い、と考える企業や、普段からの予防が大切だ、と考える企業もあると思います。安全配慮義務の法律も各国で違いがあり、それを明示することはなかなか難しいものです。
 そこで2015年に、非営利団体組織であるインターナショナルSOS財団(オランダ)が、各国の安全配慮義務の調査結果を以下のようにまとめました。

RESOURCES(AMERICAS、EUROPE, MIDDLE EAST & AFRICA、ASIA PACIFIC)https://www.internationalsosfoundation.org/resources


 日本については、インターナショナルSOS財団とベーカー&マッケンジー法律事務所により 「グローバル人材を守る健康と安全の提言書」と題したレポートがまとめられています。

ASIA PACIFIC(JAPAN)
https://www.internationalsosfoundation.org/apac


 このレポートには「物的、人的環境の整備」「安全教育の徹底(赴任前トレーニング等)」「問題が生じた場合の対応体制の整備」の3フェーズに対して、以下16個の定性的KPIが示されています。

図1_25 Jan.JPG
図1:安全配慮義務(Duty of Care)を果たすとは何か


①物的、人的環境の整備
KPI 1:事業所・居住場所等の選定、セキュリティ体制の確認
KPI 2:社用車の要否及び選定
KPI 3:警備員、運転手の配置
KPI 4:予防接種その他の医療のサポートの提供
KPI 5:法律、コンプライアンス等のサポートの提供

②安全教育の徹底(赴任前トレーニング等)
KPI 6:政情不安等の問題
KPI 7:治安・安全情報
KPI 8:医療・衛生環境についての情報
KPI 9:ビジネス環境、法的リスク等に関する情報
KPI 10:危機状況の対応方法

③問題が生じた場合の対応体制の整備

KPI 11:本社等への連絡、相談体制
KPI 12:家族への連絡
KPI 13:適切な医療機関等との連携
KPI 14:警察その他の関係当局、大使館等との連携
KPI 15:航空機を含む交通手段の手配、現地からの緊急出国、帰国等の手配
KPI 16:外部専門家等との連携

 これらのKPIから周知しなければならない情報は「KPI4:予防接種その他の医療のサポートの提供」「KPI6:政情不安等の問題」「KPI8:医療・衛生環境についての情報」「KPI10:危機状況の対応方法」の4つで、各社は以下のような取り組みを行われています。

図2.png
図2 各社の取り組み


【社内プロセスへの組み込み】(周知効果が確実にあがる方法)

手段1:「旅レジとIntl.SOSのアラートメール・アプリ)のダウンロードをしましたか?Yes/No等の項目を追加し可視化
手段2:情報サイトの確認を促進するPop-up表示のシステム設定
手段3:『Intl.SOSの情報サイトにアクセスし、渡航先のリスクの確認、E-mailアラート登録・アプリのダウンロードを行ってください』と、記載
手段4:ハイリスク国、初渡航国等については、アシスタンスセンターからのアドバイスを一緒に提出 (もしくはケース番号を記載)
手段5:代理店からのメールの中に、Intl.SOSのアプリの紹介、ポータルのリンクなどの案内を盛り込んでもらう
手段6:「当社制度と支援体制の紹介」などの社内資料に連絡先、連絡する意味などを明確に記載し、社内の安全管理のルールとして徹底

【社内イントラ連携】

手段7:イントラネット内に安全配慮義務の観点のメッセージを載せると共に、Intl.SOSのサービス案内を含める
手段8:会員専用サイトのリンクを貼る


 さらに、「問題が生じた場合の対応体制の整備」として6つのKPI「KPI 11:本社等への連絡、相談体制」「KPI 12:家族への連絡」「KPI 13:適切な医療機関等との連携」「KPI 14:警察その他の関係当局、大使館等との連携」「KPI15:航空機を含む交通手段の手配、現地からの緊急出国、帰国等の手配」「KPI 16:外部専門家等との連携」を以下の手段で重点的に実施している企業もあります。

手段9:産業医、健康管理室へも利用方法を周知しサービス活用を促進
手段10:産業医ミーティングにIntl.SOSの医師も参加
手段11:役員会議、管理者のみを集めた会議で、Intl.SOSによるサービス説明を行い、上層部の意識を上げる
手段12:管理担当者向けに有事を想定したワークショップを実施し、社内の安全管理体制の問題点を洗い出し、課題共有を行う


 これらの手段1から手段12を実践することが周知を高めることになり、「安全配慮義務を果たす」ことにつながりますが、やはり、周知効果が確実に上がる方法として社内プロセスへの組み込みが最も効果があるのではないか、という報告が行われました。もちろん、必要最小限の周知として社内イントラなども必要ですし、有事のときの対応を組織的に事前に想定しておくことも安全配慮義務の観点から重要ではないでしょうか。

 コロナ禍においてESGの「S」(Society)がますます重要となり、安全配慮義務はESG投資を呼び込む重要な要素になっていることを付記させていただき、第3回勉強会のレポートとさせていただきます。

※勉強会で共有された資料「Duty of Careを果たすためのIntl.SOSサービスの周知方法」(PDF)をご希望のお客様は、お手数をお掛けしますが、下記リンクよりリクエストフォームにご記入下さい。後日弊社営業担当より資料を送付させていただきます。
https://my.internationalsos.com/LP=7040?source=HP_DLREQ_DutyOfCareBlog_25 Jan 2021


「グローバル人材を守る健康と安全の提言書」
(ベーカー&マッケンジー法律事務所とInternational SOS Foundation共著 2015年11月作成)
Employer's Duty of Care in Japan Positioning Paper
(English) Published by the Baker McKenzie and the International SOS Foundation. Outlines the Duty of Care for businesses operating in Japan.
https://www.internationalsosfoundation.org/apac

インターナショナルSOSは、海外で活躍される企業や
その社員の方々に医療とセキュリティのアシスタンスサービスを
提供しています。詳細は下記webサイトをご覧ください。
http://www.internationalsos.co.jp/

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