Blog on Duty of Care 海外における企業の安全配慮義務

【第5回勉強会】インドネシアLive-現地情報からDuty of Careを考える

 COVID-19の感染拡大をきっかけに、2020年11月よりスタートした会員企業様同士のコミュニケーションの場である「勉強会」の第5回が2021年3月18日に開催されました。

今回は、「インドネシアLive-現地情報からDuty of Careを考える」と題し、弊社インドネシアチームより、ジャパニーズテクニカルアドバイザーを中心とし、インドネシアの現地情報をお届けするとともに、本社として認識しておくべきことなどを管理者の安全配慮義務の観点よりご紹介いたしました。

 当日は60社80名を超えるお客様にご参加頂き、各企業様の取組を交えながら、非常に活発な勉強会となりました。

 当日のメインスピーカーであるジャパニーズテクニカルアドバイザーは、現在、ジャカルタにある日系企業様をサポートしており、その経験からコロナ禍における日本人駐在者、帯同家族をとりまく生活、医療環境を以下の5つの観点より会員企業の管理者様へお伝えさせて頂きました。


●生活環境、日本人の駐在状況
 インドネシアの感染状況は、ピークであった1月末の約13,000件から比較すると、現在は5,500件ほどと下降傾向にあります。また、出勤、飲食店の営業時間、学校については、在宅、出勤が半々、オンライン授業等、まだまだ活動が制限されている状況です。そのような中、クリニックの日本人の受診状況から見ると、まだまだ帯同家族を中心にジャカルタに戻る事をためらっている傾向が現状ではみられます。
なお、ジャカルタジャパンクラブ、海外邦人安全対策連絡協議会、大使館等の現地リソースがありますが、その中でも具体的な各企業の感染状況、帰任情報等が共有される海外邦人安全対策連絡協議会はとても有益であると認識しています。同協議会の議事要旨については、ジャカルタジャパンクラブのホームページで確認頂けますのでぜひご参考にされてください。

海外邦人安全対策連絡協議会(JJC個人部会)
https://jjc.or.id/kojin/anzen/

●コロナワクチン

 インドネシアでは、現在ワクチン接種については2種類の方法があります。
 1つ目は、Vaksinasiプログラムといわれる政府による予防接種プログラムで、すでに医療従事者、高齢者などの優先グループから開始されています。(中国製ワクチン)
 2つ目は、Vaksinasi Gotong Royongゴトン・ロヨン(VGR)という民間企業のプログラムですが、こちらはこれからとなります。(中国製、もしくはインドネシア製)残念ながら、外国人の接種についての要件や、プロセス等は現時点では未確定となります。そのため、万一日本でワクチン接種が行えて渡航する際は、英語での接種証明書を入手することを推奨します。ワクチン接種を行う事で、移動や隔離軽減に繋がる可能性も十分にあるため、できる限り本社でも渡航の際の指針にするなど、ご検討ください。

コロナワクチン2.PNG

図1 インドネシアのコロナワクチン

●SOSメディカクリニックの紹介
 インドネシアには、ジャカルタに2つ(チプテ・クニンガン)バリ島に1つ、SOSメディカクリニックがあり、どなたでもアクセス可能です。この状況下、ZOOMや電話を利用した遠隔診療も行っている事も特長です。なお、クリニックの地下でPCR検査も実施しており、ソーシャルディスタンシングにも配慮しています。外国人向けに少々高めの設定(日本円で約25,000円)ということもあり、常にローカルの方でいっぱいという状況も回避しているため、安心して受診頂けます。また、アシスタンスサービスの会員の方へは、万が一陽性の際も各種手配、医療モニタリング、必要に際しての医療搬送も提供しており、日本への搬送例も2件現時点で有しております。

日本語が通じるクリニック(インドネシア)
https://www.internationalsos.co.jp/clinic/indonesia.html

●メンタルヘルス

 コロナ禍におけるメンタルヘルスの問題の増加も、管理者が優先すべき課題のひとつとなります。インドネシアにおいては、外国人医師による診療や薬の処方が認められていないため、インドネシア人医師による診察となり、言語は英語、もしくは現地語となります。どれだけ英語、現地語を流暢に話せたとしても、文化、考え方の異なる国で外国人医師による診療には限界があります。また、個人情報保護の観点より、企業管理者様への報告を避けたいと思われる傾向もあるため、管理者にとっては見えづらいというハードルがあるという事も認識すべきポイントとなります。実際に、SOSメディカクリニックにおいても、不眠やストレスからくる帯状疱疹等での受診も増加傾向にあります。

インドネシアのメンタルヘルス.PNG
図2 インドネシアのメンタルヘルス


写真.PNG



●自宅隔離での注意点
 インドネシアにおいては、自宅、もしくはコロナ患者専用ホテルでの隔離が主流です。
その際の注意点として、食事を自身でも手配できるように、GRABアプリの事前インストール、電子マネーの事前チャージを推奨いたします。また、同僚同士で定期的にコンタクトをし、お互いが異変にすぐに気がつくようにすることも重要です。その他、体温計、パルスオキシメーターを準備したり、万が一陽性となった際の移動手段の事前確認も非常に大切となります。SOSメディカはジャカルタ市内であれば、感染対策を施した状態でクリニックからお迎えにあがる事も可能です。

 最後に、国の規定では10日後にPCR検査なしに隔離措置の解除が可能ではあるものの、安心して皆様が勤務できる様、PCR陰性を義務づける等、「各企業にて安全配慮義務に対しての指針を決める事が非常に重要である」というメッセージで現地からの報告は締めさせて頂きました。

 ご参加された方からも、以下の様に活発にご質問、ご意見を頂きました。

"早い段階でのアシスタンスセンターへ連絡いただく為に、どのように従業員に案内したらよいか?"
"今度は、現地のコネクション、現地でこの様な機会をアレンジしてほしい"
"ワクチンについてもう少し詳細が知りたい"
"メンタルヘルスが切実な問題になっている"

 また、ご参加頂いた産業医の先生からも、コロナ禍のメンタルヘルスに対する取り組みとして、東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の川上教授のセルフケア動画もご紹介いただきました。

コロナ禍でのラインケア、セルフケア動画
https://plaza.umin.ac.jp/heart/e-coco-j/movie.shtml 

 お客様同士での、情報交換の場として活用いただき、今回も大盛況のうちに終了いたしました。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

【参考】安全配慮義務(Duty of Care)を果たすとは何か

① 物的、人的環境の整備
KPI 1:事業所・居住場所等の選定、セキュリティ体制の確認
KPI 2:社用車の要否及び選定
KPI 3:警備員、運転手の配置
KPI 4:予防接種その他の医療のサポートの提供
KPI 5:法律、コンプライアンス等のサポートの提供

② 安全教育の徹底(赴任前トレーニング等)
KPI 6:政情不安等の問題
KPI 7:治安・安全情報
KPI 8:医療・衛生環境についての情報
KPI 9:ビジネス環境、法的リスク等に関する情報
KPI 10:危機状況の対応方法

③ 問題が生じた場合の対応体制の整備
KPI 11:本社等への連絡、相談体制
KPI 12:家族への連絡
KPI 13:適切な医療機関等との連携
KPI 14:警察その他の関係当局、大使館等との連携
KPI 15:航空機を含む交通手段の手配、現地からの緊急出国、帰国等の手配
KPI 16:外部専門家等との連携

※勉強会で共有された資料「セキュリティアシスタンスをもっと知ろう!」(PDF)をご希望のお客様は、お手数をお掛けしますが、下記リンクよりリクエストフォームにご記入下さい。後日弊社営業担当より資料を送付させていただきます。

https://my.internationalsos.com/LP=7234

「グローバル人材を守る健康と安全の提言書」
(ベーカー&マッケンジー法律事務所とInternational SOS Foundation共著 2015年11月作成)
Employer's Duty of Care in Japan Positioning Paper
(English) Published by the Baker McKenzie and the International SOS Foundation. Outlines the Duty of Care for businesses operating in Japan.
https://www.internationalsosfoundation.org/apac

インターナショナルSOSは、海外で活躍される企業や
その社員の方々に医療とセキュリティのアシスタンスサービスを
提供しています。詳細は下記webサイトをご覧ください。
http://www.internationalsos.co.jp/

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