1905年創立以降、社会発展のために、お客様が必要とされる製品を作り続けている株式会社神戸製鋼所。今では、18ヵ国、87拠点で、「素材系事業」、「機械系事業」、「電力事業」を主軸として事業を展開し、多様な事業を営む世界でも数少ない企業として発展し続けています。
海外安全のサポート業務に携われてから、KOBELCOグループの海外事業所の方とのやりとりを行うなかで、より海外が身近になり、視野が大きく広がったと言う株式会社神戸製鋼所 人事労政部 人事グループ 岩本優太様。海外出張や赴任における必要な情報を従業員にしっかり伝え、インターナショナルSOSのサービスを積極的に活用してもらうことを念頭に、日々業務改善をされています。どのような工夫や改善を行われているのか、お話を伺いました。
―御社では、定期的に海外赴任前研修を開催していると伺いました。定期的に海外赴任前研修を開催するようになった理由を教えてください。
以前は、海外赴任が決定したタイミングで、個別に海外赴任研修を実施し、外部講師から、現地の文化や生活面について説明をしてもらっていました。この海外赴任前研修は、海外赴任が初めての従業員が対象で、年に約60回は開催していました。当時は、都度外部講師に依頼をしていたので、とても費用がかかっていたこと、また会社として従業員に伝えたい項目がほんの一部分で、ガバナンスや海外安全については伝えられていない、ということが課題でした。
ちょうどその時、2018年に、会社全体で、リスク管理体制を大きく見直していくことになり、各項目のリスク対策に対して、本社部門の各部署がリスクオーナーとなり、主体的に対応をしていくことを決めていきました。海外安全対策については、人事労政部を主体に各関係部署と連携した体制で、従業員をサポートしていくことになりました。そこで、課題に感じていた海外赴任前研修の内容を見直し、人事労政部と経営企画部が主体となって、新しく内容を作成することになりました。
―新しい海外赴任前研修の内容を教えてください。
新しい内容の研修は、2018年3月にスタートし、4半期毎、年4回(3月、5月、9月、12月)開催するようにしています。1日にすべての内容を詰め込むことはせずに、半日ずつ、連日4日間の開催としました。 海外赴任において重要な内容(以下)をもれなく組み入れました。
・赴任者心構え
・コンプライアンス
・経営財務
・人事労務
・品質
・環境
・海外安全(インターナショナルSOS社が対応)
・生活、文化面(外部講師が対応)
「海外安全」については、人事労政部では研修を行わず、インターナショナルSOS社に依頼をして、サービスの活用方法を周知していただいています。その理由は、現在、世界中でさまざまなことが起こる中で、海外における従業員の健康と安全を自社のみで管理するのはリスクがあると感じており、海外安全対策については、その分野の専門機関であるインターナショナルSOS社に全面的にサポートしてもらうことが、従業員が安心して海外での業務に従事できることにつながると考えているからです。
そのため、従業員には、海外での健康面や安全面に関しては、インターナショナルSOS社にサポートしてもらっていることをしっかり周知していくことが非常に重要です。研修では、インターナショナルSOS社が提供するサービスはどのようなものがあるのか、どのようにサポートしてもらえるのかを伝え、理解してもらうような内容にしました。特に早期での第一報の重要性について認識してもうらように努めています。
―新しい海外赴任前研修を定期的に開催されるようになってから、どのような点が改善されたのでしょうか。
以前は、都度外部講師に依頼をして研修をしていたので、外部講師にかかる費用が大幅に削減できたこと、内容に網羅性があり、会社として伝えたいことが伝えられるようになったこと、業務が非常に効率よく行えるようになったことです。
―研修に参加された方からはどのようなフィードバックをもらっていますでしょうか。
はい、御社に対応いただいている「海外安全」のパートは、具体的にどのようにサービスを利用したらよいのか、どういった点に注意したらよいのかを説明いただけるので、いつも好評です。インターナショナルSOS社にサポートしていることを知らなかった従業員からは、「24時間365日手厚くサポートしていただけるのは知らなかったので、とても嬉しい」というようなフィードバックもあります。
―新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)パンデミック時での、海外安全対策に対して、どのように取り組まれたのか教えてください。
COVID-19が拡大し始めてから、従業員やグループ会社からCOVID-19に関する問い合わせが非常に多かったので、とにかくCOVID-19も含めた健康面での対策について、社内やグループ会社へ頻繁に周知をしていきました。その際には、必ずインターナショナルSOS社のサービスの記載をして、認知度を高めていくことをしていました。
また、有事が発生した際、社内でどのように対応するのかが不明瞭でしたので、対応マニュアルを作成しました。例えば、有事が発生した場合、どの部署が現地に連絡をするのか、どの部署がインターナショナルSOS社に連絡をするのかなど、具体的に作成していきました。
海外出張や赴任の可否については、従業員が必ず現地情報を取得し、チェックリストへ記載したうえで申請してもらい、人事労政部とCOVID-19対策事務局で判断していきました。
―パンデミック前と後で、海外安全対策への意識の変化はありましたでしょうか。
そうですね、やはり一番変化があったことといえば、人事も従業員も、海外の安全面について非常に敏感になったということでしょうか。
海外安全対策については、今までは人事労政部のみで対応をしていましたが、会社全体で同じ意識を持ちながら、さまざまな対策について議論や見直しをするようになったのは、大きな意識の変化の現れだと思います。他部署と密に連携した体制で従業員のサポートをしていくことは、とても重要であると感じましたね。
―パンデミック前に安全対策を講じていたことが、COVID-19時に活かされたことはありましたでしょうか。
一番活かされたなと感じたことは、本社で、KOBELCOグループ全体の従業員の健康や安全のサポート管理をする体制にしていたことです。
以前は、各グループ会社ごとに、インターナショナルSOS社やその他の業者と契約をしていて、本社で一括して海外安全管理をしていませんでした。そこで生じていたことは、海外安全に関する意識が各社によってバラバラであったり、インターナショナルSOS社のサービスをあまり利用していない会社もありました。そのため、本社でグループ全体を管理するようにすれば、海外安全に対して同じ意識を持つようになりますし、各グループ会社で対応していた業務も本社で行うことで効率化されると考え、2013年にインターナショナルSOS社との契約を統合して、体制を変更しました。前述した海外赴任前研修にはグループ会社の赴任予定者も参加しています。
パンデミック時は、COVID-19に関する情報や、各国の出入国規制などが日々変化していくなかで、臨機応変に対応をしていかなければならない状態でした。人事労政部からは、インターナショナルSOS社からの情報の取得、サービスを積極的に利用してもらうように、常に社内およびグループ会社全体に連絡をしていました。また、本社がリードをとって、各グループ会社の担当の方たちとよく話し合いをしながら一緒に対応をしたことも、上手く機能したと思います。今後も現地とのコミュニケーションを密にとりながら、サポートしていきたいと考えています。
―メンタルヘルスサポートも弊社サービスをご利用いただいていると伺いました。サービス導入のきっかけと、どのように従業員へ周知されているのかを教えてください。
弊社では、いつでもカウンセラーに相談できる「なんでも相談室」を設けています。基本的には国内従業員向けの機能であり、海外出張者や赴任者には、時差などの理由で、なかなか利用されていませんでした。ただ、COVID-19の状況が続くなかで、会社として、何かメンタルヘルスサポートをしていかなくてはいけないという危機感がありました。他社でもメンタルに不調をきたしている従業員の事例も耳にしていたこともあり、メンタルヘルスサポートサービスも提供しているインターナショナルSOS社にサポートをお願いをしました。メンタルに不調がある場合においても、いつでも気軽に東京のアシスタンスセンターに連絡してもらうように、海外赴任前研修で周知をしています。また、定期的に、海外現地法人の拠点長にもメンタルヘルスサポートの情報を共有しています。
―COVID-19パンデミック前も、パンデミック後も変わらず積極的に弊社サービスをご利用いただいています。御社にとって、弊社サービスの魅力は何だとお考えでしょうか。
なんといっても、圧倒的な医療とセキュリティの専門性、すべてを対応してもらえるサービス体制がしっかりしていることですね。例えば、医師とセキュリティ専門家からのアドバイス、各国の情報発信、有事の際の現地対応をしてもらえることです。サービス範囲の広さと深さを実感しています。
私たちは、医療やセキュリティ専門家ではないので、サポートが難しいことは数多くあります。そのサポートが難しいことに対して、専門性をもって迅速に対応してもえるので、非常に助かっています。
―2022年にリリースされた御社のESGデータブックに、弊社名とサービス内容を記載していただきました。記載していただいた理由を教えていただけますでしょうか。
会社として、もっと対外的に海外赴任者をサポートしていることをアピールしていく必要があり、ESGデータブックに具体的な内容を記載したいと思っていました。どのように記載したらよいのかは、インターナショナルSOS社の営業の方に相談をして、アドバイスをいただきました。弊社としても、専門性があり、しっかりした体制でグローバルにサービスを提供しているインターナショナルSOS社名を記載することは、さまざまなステークホルダーに対して、情報の信頼性を示せるのではないかと考えています。
参照:KOBELCOグループ2022年ESGデータブック
https://www.kobelco.co.jp/about_kobelco/outline/integrated-reports/index.html#esg-databook
―今後の海外安全対策へのお取組みを教えてください。
海外赴任前研修については、うまく機能していると思っています。今後は、さらに海外安全について理解してもらうために、赴任した後に行う赴任後研修を、定期的に開催できるようにシステム化し、運用していきたいと考えています。
また、インターナショナルSOS社が提供している健康と安全面について学べるeラーニングの教育ツールの導入も検討していきたいと考えています。よりしっかりした体制で、従業員のサポートをしていきたいですね。
―弊社サービスの導入をご検討中の方へ、メッセージをお願いします。
海外出張者や赴任者の安全管理やサポートにおいて、会社として信頼するインターナショナルSOS社のサービスを利用していることは、非常に心強いです。
インターナショナルSOS社のサービスを利用することによって、従業員の健康と安全が守られるだけではなく、私たち管理者側も含め、個人の人の安心感もまったく違うと思います。
企業の従業員への安全配慮義務への対応は、今後より一層求められるのではないかと思いますので、そういった観点からサービスの導入の検討をされるのがよいのではないでしょうか。
お客様情報
株式会社神戸製鋼所様
https://www.kobelco.co.jp/
取材日:2022年11月