ケーススタディ
エボラウイルス感染の疑いがある医師を7000km離れたオランダへ医療搬送
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2014年9月、エボラ出血熱の深刻な発生国のひとつであったシエラレオネにてNGOの業務に当たっていた2名の医師がエボラウイルス患者との接触による感染疑いにより、適切な処置を受けられるオランダに医療搬送されることになりました。
インターナショナルSOSは9月14日(日)に要請を受け、シエラレオネからオランダのアムステルダムへ2名の医師を搬送することになりました。この医師たちはシエラレオネ中央部にある僻地の村イェルで、母子の健康問題に取り組むオランダの医療慈善団体「ライオンハート基金」による緊急医療サービスを提供していました(シエラレオネは世界で最も妊産婦死亡率の高い国の1つです)。
医師たちは赴任して5か月目に、エボラウイルスに感染したと見られる3名の患者と直接接触しました。その1人であるニック・ツインケル医師は次のように語っています。『ウイルスへの接触が発覚した当初、医療搬送が必要だとは考えていませんでした。RIVM(オランダ国立公衆衛生環境研究所)に助言を求めたところ、何らかの症状が現れる前に、私たちをオランダに医療搬送する必要があるとの回答がありました。それにはインターナショナルSOSのアシスタンスを受けることが最善の選択と思われました。』
このような医療搬送は、ケースバイケースで慎重に判断しなければなりません。2名の医師に熱などの症状がなく、搬送可能であることを確認するための遠隔病状評価は極めて重要でした。初期評価で健康状態に問題がないと判断された後、医師たちはイェルからシエラレオネのフリータウンにあるルンギ空港まで陸路で100キロ搬送され、そこでインターナショナルSOSの医療専用機に搭乗することになりました。
ツインケル医師は、さらに次のように語っています。『インターナショナルSOSは、搬送プロセスがスタートした瞬間から飛行機が離陸するまで、定期的に私たちと連絡を取ってくれました。同社医療チームによる空港での業務遂行は見事でした。医師と看護師は、ともにこの種の状況を熟知しており、プロフェッショナルとして私たちや乗務員を安心させてくれました。』搬送プロセスの全体を通して、ヨハネスブルグの医療チームからスティーブン・ラント医師とマーリズ・クーン看護師が付き添いました。彼らは患者の健康状態をモニターし、必要に応じて医療処置を行いました。

インターナショナルSOSは速やかに国境を通過できるように、オランダとシエラレオネの両国政府と公衆衛生当局に働きかけていました。2名の医師は空港近くにあるUNICEFの施設に一時的に隔離されましたが、計画された飛行ルートで、万一必要な場合は緊急着陸を行うことが許可されました。また医師たちが搬送に適さない健康状態になった場合には、彼らを他のエボラ治療施設に搬送する代替策も準備されました。
医師たちは長距離用チャレンジャー600医療専用機で搬送されました。給油のためにモロッコに短時間寄港した後、7,000km近くを飛行して、その日の現地時間17時15分にアムステルダムのスキポール空港に到着しました。この出来事はマスコミの注目を大いに集めましたが、現地の人々の不安を過度に煽らないよう、公衆衛生学的な見地から適切かつ慎重にメッセージを発するようマスコミ各社に協力を求めました。
RIVMによる確定診断と医療措置を受けるために、2人の医師はライデン大学のメディカルセンターに収容されました。結果的にエボラは発症せず、検疫期間後に健康な状態で無事退院しました。エボラウィルスが猛威を振るっていた最中の西アフリカでは最前線で働く医療従事者の存在が必要不可欠でしたが、彼らが従事するリスクの高い仕事には十分なサポートが必要です。インターナショナルSOSは幅広いリソースを動員して医師たちを搬送し、専門的医療措置を提供することができました。
エボラ感染症封じ込めには国際社会の協力、継続的な教育と研修、そして現場でのサポート強化など、さらなる取り組みが不可欠です。インターナショナルSOSは、医療搬送のみならず、正確な最新情報の発信や現場の皆様への教育活動等多角的なアプローチを通じて最善のサポートを提供して参ります。