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トピックス

【開催レポート】リスクアウトルック2025カンファレンス

医療・セキュリティのリーダーが語る未来のリスクとその解決策

インターナショナルSOSジャパン株式会社は2025年1月、東京・大阪にてリスクアウトルック2025カンファレンスを開催いたしました。

  • カンファレンス概要:こちらのページよりご確認ください
  • 日時:
    • [東京] 2025年1月15日(水)14:00~18:00(日本時間)
    • [大阪] 2025年1月22日(水)14:00~18:00(日本時間)
  • 会場
    • [東京]ベルサール六本木グランドコンファレンスセンター
    • [大阪]ナレッジキャピタル カンファレンスルーム
       
      リスクアウトルック2025カンファレンスバナー

本イベントは、医療・健康・安全保障の分野におけるリーダーが一同に会し、2025年に直面するであろうリスクとその解決策について議論を行いました。参加者が持つ不安を解消し、未来への備えを強化するための重要な情報を提供する場となりました。

冒頭の挨拶で、弊社ゼネラルマネージャー丸山は「変化する世界のリスクに対応する使命感」を強調、自身の四半世紀にわたるグローバルサプライチェーン分野における経験も踏まえた上で、地政学リスクや感染症の流行といった地球規模の課題に対応するための国際的な連携の重要性を訴え、「より良い2025年を共に形作る」ための力強いメッセージを参加者に送りました。

また、司会者の杉田からは、「このカンファレンスでは、世界情勢の分析とそれに基づいたリスク対策を共有することが、ビジネスの発展に貢献につながる」との期待感が述べられ、参加者全体でその重要性が再確認されました。基調講演やパネルディスカッションなど、各セッションへの関心が高まりました。

  • インターナショナルSOSジャパン H3Sゼネラルマネージャー
    丸山美鈴
  • インターナショナルSOSジャパン 法人営業本部
    杉田義樹

第一部:基調講演での発見と学び

基調講演「新しいリスクと想定外リスクへの対応」では慶應義塾大学大学院の大林教授に、現代社会における新たなリスクの特徴とその対策について詳述いただきました。講演の冒頭では、弊社が毎年発表しているリスクアウトルックレポートから「従業員と企業に大きな影響を与えるリスク」上位5つ(サイバー攻撃、ストレス・燃え尽き症候群、生活費危機、メンタルヘルス、地政学的緊張など)が紹介されました。それらには現代社会で深刻化しているリスクが含まれています。
大林教授は、これらのリスクが個別対応では解決できない問題であり、社会全体で協調して取り組む必要があると指摘。例えば、異常気象や感染症といったリスクは、個人や企業単位ではなく、地域や国家レベルでの連携が求められます。また、協調だけではなく、競争を適切に組み合わせる重要性も強調されました。環境問題の解決には協調が不可欠である一方、健全な競争がないと不正が助長されるリスクも指摘されました。

さらに、大林教授は、グローバル化の進展による経済成長とその副産物である経済格差についても言及されました。地政学リスクに関しては、冷戦終結後の安定した時代から、多極化し不安定さが増す世界情勢へと変化していることが述べられ、それが経済活動にも影響を与えていることが説明されました。技術リスクについては、技術そのものの進化ではなく、技術進歩のスピードが速いため、対応が追いつかないことが本質的なリスクであると指摘されました。開発競争による安全性の軽視や、それゆえに生まれるリスク構造についても言及がされていました。

想定外リスクへの備えとしては、リスク間の因果関係を理解し、予測可能な部分への対策を厚くすることで、想定外の事態による被害を最小限に抑えることが可能だと述べられました。この講演から、現代のリスクは複雑化しており、単一の対策では不十分であることを示唆。社会全体での協調や、個人の価値観に基づいた柔軟な対応が求められること、技術革新のスピードを考慮し、リスクを予測し、管理する体制を整える必要があること、そして、想定外のリスクに対しては、因果関係を理解し、連鎖的なリスクを予防、軽減する対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができると理解することができました。最後に、社会における信用や支持を蓄えていくことがリスク対策になる。人命、人権、環境、貧困問題などへの取り組みは、宗教や文化を問わず、誰からも支持されることになる、と講演を締めくくられました。

この講演は、リスク管理の重要性を再認識させるものであり、企業や個人がどのようにしてこれらのリスクに備えるべきかについての具体的な指針を提供し、特に、重要な資源の確保、柔軟な対応力、企業の信用力の3つを柱としたリスクマネジメントの実践を強調したものでした。これにより、参加者は新たなリスクへの備えを強化し、未来に向けた具体的な行動を起こすためのインスピレーションを得ることができました。

  • 慶應義塾大学大学院経営管理研究科
    大林 厚臣 教授

第二部:専門家による「リスクアウトルック2025」講演

インターナショナルSOSの医師・野村とリージョナルセキュリティディレクター・福間による講演では、リスクアウトルックレポートを基づき、2025年のリスク動向と予測をご説明させていただきました。 リスクアウトルックレポートは、弊社メディカル・セキュリティ専門家の経験と知見、組織における健康・安全の管理者へのヒアリング(今回は世界96カ国、800名以上)、弊社の設定するリスクレーティングに基づき作成、その緻密な調査と分析はグローバルリスクの現状を網羅しています。本講演では、レポートと合わせて、レポート同様に毎年弊社で制作しているリスクマップについても触れてお話をさせていただきました。

 医療リスクの現状と未来

 特に注目されるリスクとして「メンタルヘルス問題」「薬剤耐性菌」「感染症」を挙げました。コロナ禍を経て浮き彫りになったメンタルヘルスの課題は、ストレスや燃え尽き症候群の増加に直結しており、職場環境での改善策が求められています。野村は、「ドゥームスクローリング」(ネガティブ情報に過度に触れる行動)や「ブレインロット」(長時間の無駄な情報追求による思考力の低下)といった現代特有の問題に触れつつ、企業が従業員のメンタルヘルスをサポートするための施策を提案しました。 また、薬剤耐性菌のリスクについても言及。特に結核や腸チフスの例を挙げ、人為的な原因による薬剤耐性菌の拡大を防ぐためには、医療機関と患者双方の協力が不可欠であると説明しました。 

 安全リスクと地政学的課題 

福間から、セキュリティでは2025年に向けた安全リスクとして、「世界の分断化」「政治的緊張」「抗議活動の増加」を挙げ、特に中東やアジアの地域における情勢不安定化が懸念される中で、企業が直面する可能性のあるリスクを具体例を交えて説明しました。加えて、フィリピンやインドネシアの一部地域でリスク評価が改善した事例も紹介され、治安環境の改善に向けた政府や地域社会の取り組みの重要性を強調いたしました。
 
  • インターナショナルSOSジャパン リージョナルメディカルディレクター
    アジア地域担当 野村 亜希子 医師
  • インターナショナルSOSジャパン リージョナルセキュリティディレクター
    ノースアジア 福間 芳朗

第三部:パネルディスカッションでの熱い議論

パネルディスカッションでは、ゼネラルマネージャー丸山をモデレーターに、大林教授、野村、福間が登壇し2025年に向けたリスク予測をさらに深掘りし、世界と日本のリスク認識の違いと組織の対応策について議論を交わしました。

メンタルヘルスのリスク

世界と日本で共通して高いリスクと認識されており、ビジネスの継続に影響を与える可能性が高いと回答した人の割合が世界で62%、日本では70%に上がりました。組織の準備状況については、日本も世界も54%が対処できていると回答しています。
野村は、日本では30年以上前から厚生労働省主導でストレスチェックが行われているが、対処が不十分な面もあると指摘。大林教授は、生産性の低下がメンタルヘルスの初期兆候であり、管理者は早期に気づき、適切なサポートを提供することが重要だと述べられました。

その他のリスク要因

次に、ストレスと燃え尽き症候群、生活費の上昇、政治的ストレスや不安についての議論が行われました。世界ではこれらのリスクが高いと認識されている一方で、日本ではリスクが低いと認識されています。

企業の対応策として、社内での教育セミナーや外部専門家を招いたセミナーの実施、社員の満足度向上のための社内イベントやリフレッシュ活動の実施が提案されました。

地政学的リスク

世界では63%が対処できていると回答しているのに対し、日本では39%にとどまっています。大林教授は、日本企業はまず日本人赴任者や出張者の安全を優先し、現地スタッフの対応が後回しになる傾向があると指摘されました。

自然災害と治安の関係

医療逼迫や感染症の増加が懸念される中、自然災害の影響が長引くとメンタルヘルスの問題が増加する可能性があると指摘。具体例として、ロサンゼルスの山火事による治安悪化が挙げられました。

パネルディスカッションを通じて、さまざまなリスク要因に対する企業の認識と対応策が深く掘り下げられました。特に、メンタルヘルスや地政学的リスクに対する備えが企業の成長と安定に欠かせない要素であることが再確認されました。日系企業は、リスク認識の違いを理解し、適切な対策を講じることで、今後の不確実な時代においてもビジネスの継続性を確保できるでしょう。

  • パネルディスカッションの様子

カンファレンス後:名刺交換交流会

カンファレンスの後には名刺交換交流を行い、様々な組織の方がつながりを持つことが出来ました。組織の持続可能なビジネスを支えていくため、専門的な知識と経験の共有や様々な組織のネットワーク作りの一助となりますれば幸いでございます。

まとめ

「リスクアウトルック2025カンファレンス」は、参加者に多くの示唆を与え、未来を見据えた行動の必要性を再認識頂く場となりました。基調講演、専門家の洞察、パネルディスカッションを通じて、2025年に向けた課題と対応策が具体的に示され、企業や個人がリスクにどう備えるべきかの指針が共有されました。 
最後に、参加者の皆様には貴重なご意見やご質問をいただき、誠に感謝申し上げます。今後の課題は、「知識を行動に移すこと」です。カンファレンスで得た知見を活用し、強靭な企業体制を構築し、共に未来のリスクに備えていきたく存じます。今後のイベントもぜひご期待ください。

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