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トピックス

【レポート】グローバルセキュリティサービス部門統括責任者の来日ラウンドテーブルを開催

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2025年11月7日、インターナショナルSOSは、来日したグローバルセキュリティサービス部門統括責任者のジャイルズ・ヒルを招き、「海外危機管理に関する意見交換」をテーマとしたラウンドテーブルを開催しました。

1.グローバルセキュリティリスクの現在

ラウンドテーブルで話すジャイルズ・ヒル

インターナショナルSOSジャパンのリージョナルセキュリティディレクターの福間芳朗が司会を務め、ゼネラルマネージャー丸山美鈴の冒頭挨拶の後、ヒルが現在のグローバルセキュリティリスクについて話をしました。

1-1.現在のグローバルセキュリティリスクの4つの分類

ヒルは、現時点で今年インターナショナルSOSが対応した医療・セキュリティ関連の電話相談が300万件を超え、セキュリティ関連のアラートも12,500件以上に達していることを説明し、昨今のリスク環境の複雑化を明らかにしました。

また、インターナショナルSOSが支援する約9,000社の企業・団体様と対話を通じ、多くにとって過去18カ月が大きな転換期であったと述べました。

その理由として、1つ目にグローバル化の動きが停滞してきていること、2つ目にアメリカが内向き志向になり、動きの予測がしづらくなっていることを挙げ、この2つの変化が非常に重要な転換点であると述べました。

セキュリティモニタリングとインテリジェンス

さらに、地政学的混乱、気候変動、技術革新によるハイパーコネクティビティの三要素が相互に作用することで、以下の4つの観点でリスク状況が変化していると説明しました。

  1. 従来低リスクであった地域でのリスクの高まり:国家による企業への敵対的な干渉、分断、過激主義など新しい形態の脅威の顕在化
  2. 高リスク地域でのリスクの悪化:2025年は1945年以来最も多くの紛争が同時進行し、各地で国家のガバナンスが低下
  3. 渡航リスクの急激な変化:直前まで低リスクとされていた地域が数時間で高リスクに大きく変動
  4. サイバーリスクの拡大:偽情報の蔓延、選挙干渉、インフラや企業への攻撃など

ウクライナや中東での紛争を例に挙げ、「起こらないと思われていたことが毎日起きている。驚く準備をしつつ、ショックにより判断が止まることを避けるべきだ」と見解を示しました。

1-2.グローバルリスクに関する5つのシフト

セキュリティ専門家とのパートナーシップ関係

こうしたリスク状況の4つの変化要因から、次にグローバルリスク対応のために注目したい5つのシフトに言及しました。

  1. リスク要因のシフト:リスク状況の変化要因が先の4つにシフト
  2. リスク回避からリスク管理へのシフト:リスクを避けることから、経営層レベルでリスクをどう管理するかという考え方にシフト
  3. リスク対応の体制のシフト:社内で大きなチームを作ってリスク対応をすることから、AIなどのスマート技術や外部パートナーを利用することへのシフト
  4. リスク対応の方法のシフト:テンプレート化された解決方法から、リスクに応じて複雑な内外の課題をより俊敏に対応できるツールや手段にシフト
  5. 取引関係からパートナーシップへのシフト:サプライヤー・プロバイダ間で、一過性の取引ではなく信頼できるパートナーシップを結び、複雑化したリスクに対応することへのシフト

1-3.グローバルリスクに関する5つの重要領域

ラウンドテーブル全体の様子

5つのシフトを踏まえ、これから重視すべき重要領域として以下5つを取り上げました。

  1. 組織内におけるリスクへの認識の強化:リスク分析を上層部に効果的に伝え、投資判断やリスク体制の調整につなげる
  2. より高い柔軟性と対応能力:急速に変化する世界に適応し、柔軟に対応し調整できる能力をつける
  3. 確実なリスク対応と危機管理:リスクに対する強靭性(レジリエンス)の高い組織を構築する
  4. 経営幹部の警護:ビジネスに影響を与える幹部層の負傷を防ぐため、インターナショナルSOSは新しくグローバルなエグゼクティブ・プロテクション事業を展開(詳細はこちらよりお問い合わせください
  5. 徹底した現地の安全性評価の実施と事業継続計画(BCP)の策定:国内だけでなく、従業員の渡航先や拠点においても、安全性評価と事業継続計画を実施・設計する

2.グローバルセキュリティリスクに対する今後の3つの対応

セキュリティ専門家のヒルと福間

最後に、インターナショナルSOSが今後検討している3つのアクションについて話をしました。

1つ目は、インターナショナルSOSが支援している企業・団体様に、グローバルリスクについてより理解していただくための仕組みを強化・拡大すること。具体的には、グローバルなリスクモニタリング、リスクアラート、リスク分析を提供し、リスクに対して長期的な視点での理解と予測を支援する予定です。

2つ目に、セキュリティサービスの提供範囲を拡大すること。先述した経営幹部を警護するエグゼクティブ・プロテクションサービスのような、ワンストップな取り組みを可能にする追加サービスを企画しています。

3つ目に、グローバルなセキュリティ支援のための機能を開発し、より多くの企業・団体様とパートナーシップを築き、より多くの対話と追加機能を持てるようにすること。

インターナショナルSOSは現在、これらを実現するために世界各国でセキュリティ専門家の採用を進めており、今後もアジアを含むグローバルなアシスタンスを強化していく、と強調しました。

3.日本企業とグローバル企業におけるセキュリティの課題

セキュリティ課題の相談窓口

ラウンドテーブルの後半は、参加者と、セキュリティ課題の共有と闊達な意見交換が行われました。

中でも、日本企業は地震など自然災害への備えに重点を置く傾向があるなど、リスクに対する認識やアプローチに地域差があることや、大量の情報が氾濫する中でリスク管理を行っていくという今日的なリスクに対する課題について活発な議論がなされました。

参加者からは、グローバルセキュリティリスクの現状を知るだけでなく、組織のセキュリティリスクを担う他の参加者と交流できたことで、他の企業や団体の取り組みを知る良い機会となったとの感想をいただきました。

セキュリティリスクに対するインターナショナルSOSのアプローチ

世界中で働かれる従業員の皆さまの医療・セキュリティ支援を専門とするインターナショナルSOSは、現在セキュリティリスクに対して以下のようなサポートを提供しています。

  • 24時間365日対応の専門家による電話相談
  • プラットフォームを介した信頼のおけるセキュリティ情報の発信
  • 専用アプリを介した位置情報の共有とセキュリティアラートの発報
  • 自然災害、テロ、紛争など突発的な危機発生時の避難支援
  • 経営幹部層の方のセキュリティ保護サービス
  • ISO22361準拠のクライシスマネジメント能力の構築や強化支援

その他、健康や医療面でも、日常的な怪我や病気の治療、健康診断の実施、メンタルヘルスケア、治療方針の相談から、緊急時の医療搬送支援まで幅広く対応しています。

セキュリティリスクの対応に関して、専門家にご相談されたい方はこちらからお気軽にご連絡ください