【人事向け】ISO 31030とは?対策方法と注意点を海外出張者・駐在の渡航リスク専門家が解説
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出張者・駐在員の渡航リスク管理をする方法を調べた際に、「ISO 31030」という言葉を目にして内容が気になった方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ISO 31030がつくられた背景と内容、罰則規定、対策方法と注意点について、トラベルリスクマネジメントの専門家がやさしく解説しています。
後半では、人事・労務担当者や渡航リスクの管理者がやるべき具体的なISO 31030対策についてご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
ISO 31030をひと言で説明すると、国内外へ出張・駐在する人の安全管理を指す「トラベルリスクマネジメント(Travel Risk Management, TRM) 」に関する国際規格です。
「ISO 31030:2021」は2021年更新版で、現状の最新版です。
国際規格とは、商品・サービス・システムに関して「全世界で通用する標準」を定めたもので、国際標準化団体が策定します。
ここで言う渡航リスクは、交通事故や健康被害・疾病の発生、感染症の流行、自然災害・紛争・犯罪・セキュリティリスクの発生、出張者・駐在員の健康悪化(精神的健康を含む)など、渡航目的の達成に悪影響を及ぼす可能性のあるリスク全般を指します。
毎年更新されるものではなく、国際的に大きな危機が生じるとそれに対応するために更新されます。新型コロナウィルス(COVID-19)の流行を受けて2021年にも改訂され、ISO 31030:2021がつくられました。
そのため、2024年以降に国内・海外出張者、駐在員の渡航リスク管理をおこないたい企業のご担当者様は、ISO 31030:2021を参照して対応すれば現状問題ありません。
ISO 31030の「ISO」は、スイスを本部に置く非営利・非政府組織である「国際標準規格(International Organizations for Standardization)」の略称です。
ISOは、商品やサービス、システムのために国際規格という標準を定めています。国際規格があることで、世界中で同じ品質やレベルのものがつくられるようになり、国際取引を円滑にすることができます。
それぞれの国際規格には、ISO 31030のように「ISO~」と続く名前が付けられます。ISOがつくった国際規格なので総称を「ISO規格」といいます。
ISO参加国は172カ国(2024)にのぼり、各国1つの代表的な標準化機関が加盟します。日本からは日本興業標準化調査会( JISC )が代表して加盟しています。
ISO規格は、大きく分けて2種類あります。
製品やサービスの品質や性能に関する「モノ規格」と、製品やサービスを提供する組織の品質管理や環境活動などの取り組みに関する「マネジメントシステム規格」の2つで、ISO 31030は後者にあたります。
中でもリスク管理のISO規格として「ISO31000」があり、その規格から派生してできたのが、出張・渡航リスク管理についてのISO規格「ISO 31030」なのです。
派生元であるISO31000は、以下の骨組みをもとにつくられています。
総務省 「ISO3100:2018改訂の概念図」を引用
ISO 31030は、出張や駐在、旅行サービスなどビジネス上のあらゆる旅行において、組織が渡航リスク管理をするための標準を全48ページでまとめています。
ただしビジネス渡航リスクを管理するための国際規格で、観光やレジャー目的の渡航リスクには適用されません。
対象組織は、民間企業、政府組織、非政府組織、慈善団体、非営利団体、教育機関で、言い換えると公・民、営利・非営利、業種を問わず「すべての組織」です。
内容を簡潔に言うと、「事前計画、政策策定、プログラム開発、リスクの特定、対策、緊急対応」などの開発・実施・評価・レビューをする方法について書かれています。
ここまでISO 31030の概要についてご説明してきました。ここからは、実際にこの国際規格に基づいて出張・渡航リスク管理をするメリットや罰則の有無、注意点についてお伝えします。
ISO 31030に基づいて安全管理をすることは、全国や世界で事業を展開する企業にとって、企業コンプライアンスを遵守していることを示す上で欠かせません。
従業員の健康・安全対策を国際規格に則っておこなっていることは、対企業の信頼獲得だけでなく、優秀な人材のリクルーティングをおこなう上でもメリットと言えます。
特に海外出張者や海外駐在員など外国で仕事をする従業員にとって、安心して働ける環境が国際規格をもとに整備されていることは、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。
これから国内外の出張・渡航リスク管理をすることを検討されている人事・労務や安全リスク管理の担当者様にとっても、信頼できるベースがあるとリスク管理に取り組み易いというのもISO 31030を活用する利点です。
ISO 31030に法的義務はありません。あくまで国内出張・駐在の渡航リスク管理や海外出張者・駐在員の渡航リスク管理を適切におこなうためのガイドラインです。
ただし先述の通り、ビジネス上の取引きや、人材獲得、従業員の健康・安全対策の面で、ISO 31030に応じて渡航リスク管理をする方がメリットが多いと言えます。
注意点としては、自身の組織の渡航リスク管理の現状把握と、ISO 31030に則した新しいプロジェクトの開発と評価、新しい制度を現場に浸透させるトレーニングなど、取り組むべき課題が煩雑かつ量が多いことが挙げられます。
そのため最後にご紹介する対策方法を参考にしてみてください。
まとめとして、安全リスク管理担当や労務・人事の方向けに具体的なISO 31030の対策方法を3つご紹介します。
まとめて専門家によるISO 31030と渡航リスク管理対策の解説を改めて聞くには、いつでもどこでも視聴できるウェビナーがおすすめです。
インターナショナルSOSが過去に開催し、ご好評いただいたウェビナーの内容も、無料でご視聴いただけます。
ISO 31030に対応した渡航リスク管理をおこなうには、国際規約そのものの内容理解にとどまらず、自社のリスク管理の現状把握から課題の特定、プロジェクトの開発と評価、現場のトレーニングに至るまでさまざまな準備が必要になります。
日頃、健康・安全管理に関わる業務以外にも携わっておられる労務・人事の方々は言うまでもなく、安全リスク管理を専門に担当している方々であっても、限られたリソースの中でこれらの準備に対応するのは非常に困難であると言わざるを得ません。
そのため、まずは渡航リスク対策の全体像と自社の現状、対策コストの把握が目的でもいいので、専門家に一度相談してみるのがおすすめです。
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