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【最新】グローバルリスク報告書2025年版|解説と管理・対策法をご紹介

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今年も「グローバルリスク報告書2025年版」が発表されました。

海外出張や海外駐在がある企業・団体の人事・労務担当者様や、リスクマネジメントのご担当者様は、今年のグローバルリスク対策を計画するために注目されているのではないでしょうか。 約40年間、世界中で医療・セキュリティアシスタンスをご提供しているインターナショナルSOSも、毎年独自にグローバルリスクを調査し、「リスクアウトルックレポート」を発表しています。

この記事では、「グローバルリスク報告書2025年版」と、それと併せて読みたい「リスクアウトルックレポート2025」の概要、企業・団体様が注目すべきポイントと対策方法をご紹介いたします。

リスクアウトルックレポート2025のリクエストはこちらから

1.リスクアウトルックレポート2025の概要

はじめに、グローバルリスクの簡単な定義と、リスクアウトルックレポートの概要をご紹介します。グローバルリスク報告書2025年版の概要は次の章で扱います。
※リスクアウトルックレポート2025(全文)はこちらからダウンロードできます。

1-1.グローバルリスクとは?確認したい2つのレポート

グローバルリスクとは、「世界規模で影響がある可能性のあるリスクや脅威」のことです。

グローバルリスクは、国内外で事業を展開している企業・団体様のみならず、国内で事業を展開されている企業・団体様にとっても事業運営のために見過ごせないものです。

グローバルリスクに関する調査として有名なものは、後述する「グローバルリスク報告書」がありますが、その調査と併せてご確認いただきたいものとして「リスクアウトルックレポート」があります。

このレポートは、医療・セキュリティアシスタンスの専門家であるインターナショナルSOSが、長年の知見と公共・民間組織とのグローバルネットワークを生かして、国際的な調査結果をもとに毎年作成・発表しているものです。

1-2.リスクアウトルックレポート2025の構成

リスクアウトルックレポート2025の内容構成は、以下の通りです。

  •  序文-分断化する世界
  • 調査方法について
  •  本文-分断化する世界における健康/科学技術/気候変動など 
  • グローバルリスクの増幅要因-対立/繋がり/混乱 
  • 今後の展望
  •  グローバルリスクへの取り組み

1-3.企業が注目したいグローバルリスク―トップ5

企業のリスクに対する準備(リスクアウトルックレポート2025)

リスクアウトルック2025を翻訳・一部着色

 

リスクアウトルックレポート2025」は、2025年に「従業員と企業に大きな影響を与えるリスク」の上位5つ(上図参照)として、以下を挙げています。

  1. サイバー攻撃 
  2. ストレス・燃え尽き症候群
  3. 生活費危機
  4. メンタルヘルス
  5. 地政学的緊張 

これらは個々に独立したリスクではなく、相互に影響を及ぼし合っています。

インターナショナルSOSのグローバル メディカル ディレクター、Irene Lai医師は「世界情勢が不安定で予測不可能かつ制御不能であることは、生活費危機と相まって従業員のストレスや燃え尽き症候群を引き起こす大きな要因となっている」と述べています。

参考:【リスクアウトルック2025】アンケート調査結果を発表

1-4. 企業が注目したいグローバルリスク―社会の分断化

これら5つのグローバルリスクにも深く関係することであり、リスクアウトルックレポート2025で大きく取り上げられているグローバルリスクが「社会の分断化」です。

調査対象の上級リスク専門家の69%が「2025年に地政学的緊張が自社のビジネスや従業員に重大な影響を及ぼす可能性が高い」と回答し、主要意思決定者の 75% が「社会的・政治的不安が最大のリスク」と回答しています。

社会の分断化は去年のレポートの時点で警鐘が鳴らされており、今年はさらに深刻化・長期化することが見込まれています。

ロシア・ウクライナ間の紛争にはじまり、ベネズエラでの選挙不正と市民の暴動、シリアのアサド政権の崩壊、イスラエル・パレスチナ間の紛争など、国内・国家間での紛争や暴動が絶えない国際情勢が、社会の分断化リスクへの意識を高めていると言えます。

2.グローバルリスク報告書2025年版の概要

続いて、グローバルリスク報告書2025年版の概要をご説明します。

2-1.グローバルリスク報告書とは?

毎年1月に、グローバルリスクについて世界経済フォーラムが「グローバルリスク報告書」(例年100ページ前後)を発表しています。

同月に世界経済フォーラムの年次会議(ダボス会議)が開かれ、世界の各界のリーダーがスイスのダボスに集結し、報告書をもとにグローバルリスクの解決策を話し合います。

世界経済フォーラムは非営利の国際機関で、世界規模・地域規模の課題を調査し、政治家、企業のトップ、研究者、非営利・非政府組織の代表、文化活動家といった世界のリーダーと解決策を話し合うことで世界情勢の改善に取り組んでいます。

グローバルリスク報告書の土台となっているのは世界経済フォーラムが毎年実施している「グローバルリスク意識調査(Global Risks Perception Survey, GRPS)」で、世界中の専門家やリーダーを対象に調査をおこない、その結果のデータをもとに報告書を作成しています。

2-2.グローバルリスク報告書2025年版の内容構成

グローバルリスク報告書2025年版の内容構成は次の通りです。

  • 序章:報告書の目的・調査方法・主な調査結果について
  • 1章:現在~短期的(今後2年間)リスクの分析と予測
  • 2章:長期的(今後10年間)リスクの予測
  • 付録:グローバルリスクの定義リスト(付録A)
  • 調査協力機関のリスト、謝辞

2-3. グローバルリスク報告書2025年版:現在のグローバルリスク

現在のグローバルリスク(グローバルリスク報告書)

Global risk report 2025 Figure Bを一部抜粋及び翻訳

グローバルリスク報告書2025年版で紹介された、現在のグローバルリスクのトップ10は以下の通りです。

1位 国家間武力紛争/2位 異常気象/3位 地政学的対立/4位 誤報と偽情報/5位 社会の二極化/6位 景気後退(不況・停滞)/7位 地球システムの危機的変化(気候の転換点)/8位 経済的機会の欠如または失業/9位 人権と市民の自由の侵害/10位 不平等

中東やロシア・ウクライナ間、スーダンで長く続く紛争や、異常気象が引き起こした自然災害、(極右勢力の台頭など)社会的・政治的な二極化、テクノロジーの発達(SNSやAIなど)による誤報・偽情報の蔓延などがその理由に挙げられています。

2-4.グローバルリスクランキング2025:中期~長期的なリスク

中期から長期的なリスク(グローバルリスク報告書)

Global risk report 2025 Figure Cを翻訳

続いて今後2年間~10年間に起こる予測のグローバルリスクを重要度で測ったランキングを見ていきましょう。

まず短期的リスク(今後2年間の発生予測)でトップ3にランクインしたのは、誤報と偽情報、異常気象、国家間武力紛争でした。

一方長期的リスク(今後10年間の発生予測)でトップ3にランクインしたのは、異常気象、生物多様性の喪失と生態系の崩壊、地球システムの危機的変化(気候の転換点)でした。

3.企業のグローバルリスク管理の方法

3-1.対策 ①事業継続計画を立てる

事業継続計画(Business Continuity Plan, BCP)とは、企業・団体が自然災害(山火事、火災、地震、津波、洪水など)やテロなどの緊急事態に直面した際に、損害を最小限に抑え、事業の早期回復を図るための計画のことです。

計画の構成要素は、次の5つです:

  • ① 企業に影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定と影響の評価をする
  • ② 緊急時に優先的に継続するべき核となる事業を特定する
  • ③ 緊急時の対応手順をまとめる
  • ④ 拠点や生産設備、仕入先を変える必要が出た場合の代替案を準備する
  • ⑤ 全従業員に情報を共有する手段をつくる

リスクマップ2025ダウンロードはこちら

3-2.対策 ②緊急時対応の体制を整える

「対策①事業継続計画を立てる」の手順③以降に関連して、緊急対応時の体制を整える具体策を以下にいくつかご紹介します。

  • 自然災害などの被害を受けた際に、リアルタイムで安否確認ができるようにする

  • 緊急医療搬送をすぐに呼べる手段を確保する

  • 紛争が勃発したときにすぐに国外退避できるようにする

緊急時に必要な場所にスムーズに連絡が取れるようにすること、現地の医療の質や医療機関を把握しておくこと、現地の安全情報に精通した専門家と繋がることが大切です。

これらのために、企業や団体によっては安否確認ツール緊急医療搬送のサービスを利用するところもあります。

どこまでを自社でおこない、どこから外部の協力を仰ぐかの判断が重要です。

3-3. 対策③メンタルヘルスサポートの窓口を設置する

具体的な施策を打たなければならないのは、目に見える非常事態だけではありません。

特に精神の健康は、企業や団体が直接関われることと、第三者が関わる必要があることがあります。

企業の本部の目が行き届かない海外拠点で働く従業員のメンタルヘルスについても、海外出張者に対してや海外駐在員に対してのメンタルヘルスサポートがありますので、併せて確認しておくと良いかもしれません。

4.企業のグローバルリスク対策の事例

医療・セキュリティアシスタンスの専門家であるインターナショナルSOSが、これまでご支援してきた企業様のなかで、グローバルリスク対策についてインタビューさせていただいた企業・団体様を3つご紹介いたします。

4-1.株式会社神戸製鋼所様

外部講師を招いて年60回おこなっていた海外赴任前研修の内容を見直した結果、コスト削減と必要な情報に絞った伝達ができるようになりました。

国内従業員向けにおこなっていた、いつでもカウンセラーに相談できる「なんでも相談室」を海外出張者や赴任者にも受けられるようにするために、インターナショナルSOSのメンタルヘルスサポートを受けていただきました。

海外赴任前研修の内容構成など、詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。

4-2.全日本空輸株式会社様

世界各地に行くことが多い従業員が安心して海外で業務をおこなえるように、24時間365日サポートが受けられる医療アシスタンスサービスを導入されました。 海外出張者の怪我や病気の対応で駐在員に過度に負担がかかることや、現地の医療施設で不要な治療がおこなわれることも防げるようになりました。

詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。

4-3.NPO法人クロスフィールズ様

こちらのNPO法人様がご提供されている海外のプログラムに参加される、企業の従業員向けに安全管理の事前研修としてeラーニングをご利用いただいています。 また、海外でデング熱に感染された方に、現地のインターナショナルSOSクリニックで診療を受けていただきました。

詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。

6.まとめ|グローバルリスク対策のセミナー情報

インターナショナルSOSは、リスクアウトルックレポートの発表に合わせて、専門家を招いた企業のグローバルリスク対策に関するカンファレンスを毎年開催しています。

今年のカンファレンスは既に終了していますが、内容は開催レポートでご確認いただけます。

来年以降のカンファレンスの情報や、その他企業の医療・セキュリティ対策に関する最新ニュースやセミナー情報が気になる方は、ニュースレターのご登録がおすすめです。

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