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海外出張で想定されるリスクとは?主な被害と企業が整えるべき対策を分かりやすく解説

海外出張で歩いている男女
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海外出張には、犯罪・テロ・自然災害・健康被害など、多様で予測困難なリスクが存在します。

海外出張のある企業・団体の人事・労務・リスク管理担当者様の中には、渡航先で起こりやすいリスクの把握や、具体的な対策方法について悩まれている方も多いのではないでしょうか。組織は従業員の安全と健康を守る「安全配慮義務」を負っており、海外出張においても、渡航前からのリスクマネジメント体制の構築が不可欠です。

この記事では、インターナショナルSOSのセキュリティマネージャー渡邉信也監修のもと、海外出張者のリスクマネジメントについて、主なリスクと対策方法、リスク発生時の対応方法について解説します。セキュリティ・医療の専門家に個別のご相談をされたい方は、こちらからお問い合わせください

海外出張時のリスクマネジメントが求められる理由

出入国在留管理庁の「令和7年における外国人入国者数及び日本人出国者数等について(速報値)」によると、2025年における日本人出国者数は、約1,473万人と、前年に比べ約172万人(約13.3%)増加しました。

また、外務省の「2024年(令和6年)海外邦人援護統計」によると、2023年以降、邦人援助件数も増加傾向にあります。そのため、企業・団体は海外におけるリスクマネジメント体制を整備しておくことが非常に重要です。整備が不十分な場合、出張者の心身の安心・安全が損なわれるだけでなく、企業の信頼失墜や事業の停止につながる可能性があります。

海外出張の主なリスク

すりに遭う歩行者

本章では、海外出張者が直面しやすい5つのリスク(犯罪、テロ・暴動、交通インフラ、自然災害、健康トラブル)に対して、起きやすいリスクの例と実際の事例をご紹介します。

犯罪

外務省の「2024年(令和6年)海外邦人援護統計」によると、2024年には11,864件の海外邦人援護件数があり、そのうち2,880件が窃盗、強盗による犯罪被害でした。例として以下が挙げられます。

  • 空港:手荷物の置き引き、チェックイン待ち中のスリ
  • ホテル:カードキーのすり替え、空き巣、避難経路の不備
  • 屋外:路上強盗、売春、薬物の混入による強姦・強盗

当社が過去に対応した事例に、フィリピンで強盗被害に遭った従業員の事後対応支援を行ったケースがあります。業務のためフィリピンに滞在していた従業員がショッピングモールで恐喝を受け、強制的に現金を引き出させられる被害に遭いました。事件の発生後、インターナショナルSOSが支援に入り、速やかにカードの利用停止を行うとともに、現地パートナーと連携して警察への届け出を支援しました。

テロ・暴動

2025年も、欧米や南アジア、アフリカなど世界各地でテロ・暴動が発生しました(公安調査庁「世界のテロ等発生状況」)。過去日本人が巻き込まれた事件も少なくなく、スリランカ同時爆破テロ事件(2019年)、バングラデシュ・ダッカの襲撃事件(2016年)、ベルギー・ブリュッセルの連続テロ事件(2016年)などがあります(公安調査庁「主な邦人被害テロ事件等」)。また、デモや暴動に伴いフライトの欠航、外出制限、商店の閉鎖といったリスクも起こりやすくなります。

当社が過去に対応した事例に、スリランカで発生した同時爆破テロの際、現地で働く従業員の所在把握ができなくなった企業を支援したケースがあります。祝日と重なり現地の旅行会社とも連絡が取りづらい状況でしたが、インターナショナルSOS独自の安否確認システムで従業員の滞在地や移動情報を迅速に把握し、危機発生地域にいる従業員数の特定、注意喚起の発信、連絡手段の確保などを実現しました。詳細は、こちらの記事(英語)からご覧ください。

交通インフラ

海外出張において直面しやすいのが、移動手段に関するトラブルです。先述した犯罪・テロ、暴動が起きれば、フライトの欠航に留まらず、鉄道やバス、電車などの公共交通機関の遅延や運行停止、路線麻痺、交通規制による交通渋滞などが起こり得ます。また、国や地域によっては未舗装な道路や、日本と異なる交通ルール・習慣により、交通事故に遭遇するリスクが高まります。

当社が過去に対応した事例に、イラク北部(クルディスタン地域)に滞在していた従業員のトルコへの越境移動を支援したケースがあります。情勢不安で交通網が混乱し、国境検問所も混雑と厳格な規制が続いていました。当社は現地パートナーと連携し、滞在先から国境までの安全な陸路移動、トルコ側での受け渡し、最終目的地までの移動を一気通貫で対応し、48時間以内に完了しました。詳細はこちらの記事(英語)からご覧ください。

自然災害

海外では、地震や台風、火山噴火といった日本でも聞き馴染みのある災害に限らず、ハリケーンやスコール、大規模な山火事など、地域特有の自然災害に遭遇する可能性があります。

また、国際赤十字(IFRC)が「World Disasters Report 2026」で、災害は自然災害単体ではなく社会の脆弱性によって引き起こされる、と指摘するように、二次被害としてのライフラインの寸断や、通信環境の乱れ、物資不足、交通機関への影響も注意が必要です。渡航前の渡航先地域全体のリスク調査が不可欠です。

当社が過去に対応した事例に、アメリカ西部で発生した大規模山火事で、被災した従業員と家族を支援したケースがあります。当社は、連絡をいただいた企業様と連携して、従業員と家族が安全に帰宅するまでホテルや食事の手配などを実施しました。詳細はこちらの記事からご覧ください。

健康トラブル

先述した外務省「2024年(令和6年)海外邦人援護統計」によると、地域特有の感染症や現地の衛生環境に起因する病気も対応が必要です。特にアジア地域の在外公館では、他の地域に比べて「傷病」による援護案件が多く発生しています。

新型コロナウイルス(COVID-19)、デング熱、マラリア、食中毒などに加え、近年ではポリオ、はしか、コレラが複数地域で再流行しています。原因は様々で、現地の水や食べ物の衛生管理の不備、蚊やハエを介した感染などが挙げられます。

感染症に加え、慣れない環境でのメンタルヘルス不調も注意が必要です(参考記事「海外出張者・海外赴任者・駐在員のメンタルヘルスケア|企業が取るべき対策とは?」)。

当社が過去に対応した事例に、1カ月間シンガポールへ出張した従業員のメンタルヘルスケアを行ったケースがあります。既往歴や英語への不安、政府監視下での隔離環境が重なり、心身の状態が悪化したため、同僚からの相談を受けて当社が支援を開始しました。日本人臨床心理士によるオンラインカウンセリングと、当社の医師による服薬の助言を行ったことで、従業員は精神的に安定し、出張業務を継続できるまでに回復しました。詳細はこちらの記事からご覧ください。

海外出張のリスクに備えて整えるべき対策

海外出張前研修の様子

企業・団体は、海外勤務では想定外のリスクが発生する可能性を考慮して、渡航前から対策をしておくことが大切です。具体的にどのような対策を行うべきかについて見ていきましょう。

最新情報の取得

有事の際に適切な行動をとるためには、事前に渡航先の国や地域について最新リスク情報を確認しておくことが不可欠です。まずは外務省「海外安全ホームページ」から現地の治安情勢や犯罪手口、医療情報、現地の法律・習慣などを確認しましょう。

3カ月未満の出張には「たびレジ」、3カ月以上の滞在には「在留届」の登録を必ず行うことで、近隣地域でリスク事案が起きた際、登録者本人に警戒メールが届くようになります。

当社が毎年発行する世界のリスク動向の調査報告書「リスクアウトルックレポート2026」でも、AI生成などの偽情報・誤情報の加速度的な蔓延に警鐘を鳴らしています(アウトルックレポート2026のダウンロード申込みはこちら)。

このような状況で情報の質と量を担保するために、専門家によるリスク分析・情報提供サービスの利用もおすすめです。

教育・研修の実施

リスク発生時の行動に関する規程やマニュアルを整備するだけでは、リスク対策として十分ではありません。最新情報・情勢に基づきこれらの内容を適宜更新することに加え、渡航前研修や定期的な訓練を実施し、海外出張者へ意識づけをすることも必要です。

具体的には、「安全のための三原則(目立たない・行動を予知されない・用心を怠らない)」といった基本原則の教育から、犯罪に遭遇した際の対応方法、テロや暴動、紛争発生時の対応訓練などがあります。研修や訓練の際に、緊急連絡先や避難先の共有方法なども確認しておくことで、有事の際に日本の本部側と海外拠点が円滑に連携しやすくなります。

インターナショナルSOSでは、40年以上の知見を蓄積した独自開発のe-ラーニングサービスを提供しています。渡航前研修など個別のご相談はお問い合わせよりご相談ください。

アシスタンス体制の構築

突発的な武力衝突や自然災害が起きた際の国外退避や救助、大怪我や重篤な病気になった際の緊急治療や医療搬送などは、企業・団体自身で対応しようとすると、時差の問題などで状況把握に時間がかかり、判断が遅れて被害が拡大しやすくなります。

特に緊急性を伴うセキュリティ・医療リスクについては、専門家が提供するサービスを利用することがおすすめです。例えば、日本時間の深夜や休日でも対応できるよう、24時間365日相談できるアシスタンスサービスや、緊急時に従業員の安否確認や位置情報の共有ができる安否確認システム、緊急時に治療や避難、搬送などのサポートが受けられるサービスなどがあります。

インターナショナルSOSはこれらすべてを一気通貫で対応しています。ご相談はこちらからお問い合わせください

健康管理体制の整備

6カ月以上海外に滞在する従業員には、法律で渡航前と帰国後の健康診断が義務付けられています(「労働安全衛生規則第四十五条の二(海外派遣労働者の健康診断)」)。6カ月以内の海外出張であっても、感染症などの病気や怪我になる可能性は十分にあるため注意が必要です。

滞在期間に関係なく、勤務国の治安や衛生環境などによってメンタルヘルスに影響が及ぶ場合があります。必要に応じてオンラインで日本人の臨床心理士とカウンセリングができるサービスを利用することで、悪化する前に一時帰国などの対応をすることができ、事業への影響も最小限に抑えられます。

インターナショナルSOSでは、現地で受診が必要な際、症状に応じて自営クリニックを含む適切な医療機関の紹介、医師とのやりとりの仲介、受診結果のセカンドオピニオン、緊急医療搬送などの手配も行っています。

社内規定とマニュアルの策定

海外出張でのリスクを回避するには、最新情報の入手や教育機会の提供、外部の専門家の活用、健康管理体制の構築を包めた、組織としての総合的な社内規定とマニュアルの策定が求められます。

近年では、海外渡航に関するリスク管理の国際規格としてISO 31030(渡航リスク管理)が注目されており、これに沿った体制整備は、企業の安全配慮義務を客観的に示す指標ともなります。

リスクマネジメントの基本方針とリスクの優先順位を定め、事業に深刻な影響を与える危機発生時に備えた事業継続計画(BCP)を策定するとともに、現場レベルの具体的な行動手順として危機管理マニュアルを整備しておくことが重要です。

必要となる対策は業種・業態展開地域によって異なり、また世界情勢の変化に応じた定期的な見直しも不可欠です。そのため、海外リスク対応に精通した専門家の知見を活用することも、有効な選択肢の一つといえるでしょう。

従業員が海外出張で被害にあったときの対応方法

セキュリティリスクに対応している人々

海外出張で被害に遭いやすいのは、空港の到着ロビーやホテル・宿泊施設のフロントロビー、イベントが起きた周辺地帯など、警備が手薄で不特定多数の集まる場所です。場面によって対応方法は様々ですが、まずはそのような場所での長居を避けることが重要です。

被害に遭った際は、まずはその場を離れ、安全が確保できる場所から現地の警察や当局への届け出、会社への報告をしましょう。また、危機時に落ち着いて対応できるよう、短期の海外出張であっても渡航前教育を実施し、対応フローや緊急連絡先の確認などを行うことが大切です。

日本大使館・総領事館の対応範囲は外務省の資料「海外で困ったら 大使館・総領事館のできること」でもご確認いただけます。

海外出張者のリスク対策を専門家が支援

海外出張には、犯罪やテロ・暴動、交通インフラの混乱、自然災害、健康トラブルなど、多様で地域特有のリスクが存在します。

海外出張者のリスクを最小化するためには、信頼できる情報源からの最新情報の収集や、出張者に対する継続的な教育・訓練、事業継続計画(BCP)や危機管理マニュアルなどの社内体制の整備が欠かせません。

さらに、有事の際には迅速な判断と対応が求められるため、24時間対応のアシスタンスサービスや安否確認システムなど、専門家の支援を活用することで対応力が格段に向上します。

海外出張者のリスクマネジメントに不安がある企業・団体様は、こちらからセキュリティ・医療の専門家へご相談ください